1.始めに

 一昨年、当愛知県立瑞陵高等学校内に於いて記念祭史上初めてといっても過言ではない程の事態が発生した。即ち、体育祭の中止である。しかし、その程度のことはいくらでもある。問題の事態が発生したのはその中止が発表されてからであった。一部の血気盛んな生徒を中心に程度の差はどうであれ生徒会執行部、記念祭準備委員会に対する暴動に近いものが発生した。体育祭再開の署名運動である。この行為は明らかに全校生徒の代表者の集まりであるはずの代議員会、記念祭準備委員会会議の決議を無視したものである。私は、この行動を一時は武力による強制排除、ないしは政治的制裁を考慮した。しかし、私自身にその様な権力もなければ技量もない。直ぐに考えを現実に戻し、如何に対処すべきかを考えた。まず、執行委員会を開き対応策を決める。その後、前例はないが生徒会会長の名に於いて代議員並びに記念祭準備委員を召集し、緊急で対策会議を開き、対応策について討議し、然るべき決断を下す。これをする為には生徒会そのものの基盤がしっかりと固められていなければならない。当然のことながら本校生徒会の基盤はそれほど強固なものではなく、むしろ脆弱と形容したほうが良いだろう。私はこの事態が発生した理由を私なりに考えた。結論は一つ。生徒そのものが生徒会首脳部の提示した原案の存在を無視しているからに他ならない。いや、代議員ですら定例議会を無用の長物と認識していることにあると思う。このような状態ではいつ教員側の介入が大きくなるか判らない。事実、私も今回の体育祭中止は教員側が決定したと思い込んでいた。確かに最終決定は教師にある。「亀の甲より年の功」である。しかし、原案を提示したのは我々である。私はこの事を再認識した時、自分自身に腹立たしく思えた。生徒会の長自らがこのような思い違いをするようでは改革も何もあったものではない。私はなぜ自分が記念祭のことについて知らないのかよくよく考えると必ずある一つの結論を得る。生徒会執行部と記念祭準備委員会との意志の疎遠である。今年は昨年よりも改善されたと思っていた。しかし、その見解は外れていた。

私は結局、無能な生徒会会長として生徒会の表舞台から姿を消すのだろうか。そんなことは私のプライドが許さなかった。クラスを切り捨て、部活を犠牲にしてまで骨身を削った生徒会活動をその様な無様な形で終る訳にはいかない。「瑞陵にこの人あり」とまで言われずとも、せめて「昔、生徒会の為に全身全霊、粉骨砕身の覚悟で働いた生徒会会長がいた」と語り継がれるような終わり方をしたい。そのためにも今、私ができる最大の事は生徒会改革以外に何があろうや。私はこの改革案に生徒会生命の総てをつぎ込んだつもりである。仮にこの案が執行委員会や代議員議会で可決されずとも、この改編案が代々生徒会会長の元に受け継がれ、然るべき時にこの改編案に修正を加え、再度日の目を見る日が来ることを願うだけである。その時は弱輩ながら多少の助言はさせて頂こう。

総ては瑞陵高等学校生徒会の栄の為に。

2.概要説明

 本改編案の概要を説明させて頂く。基本は以下の六つを柱とする。詳細は別途作成する。

 @ 執行委員会の強化
 まず、生徒会の最高決定機関が執行委員会であると思う。この委員会が開かれなければ代議員会は開かれない。今、執行委員会は形だけしか存在しない。執行委員会がしっかりとしたものならばまずその生徒会は機能する。そこで、私は執行委員会に対する執行委員会基本法(仮)を提示する。この基本法は執行委員会の機能、性質、その議決の効力、構成員を定め、明記し、構成員に対し、自覚を持たせることを主柱とする。この基本法が可決されるならばそれは全校生徒が執行委員会の効力を認めたことになるはずである。

 A 記念祭準備委員会、瑞窓委員会の生徒会組織としての再認識
 この両委員会は言うまでもなく生徒会の一委員会である。この両委員会が現在では独立した機関として活動している。現在の執行部には両委員会からの情報はほとんど入ってこない。仮に何か間違いが起きたとしても責任は執行部が執らなければならない。そこで、彼等が今何をしているのかを把握し、指揮する為に私は両委員会委員長の執行委員会への参加を強制させ、報告義務を負わせるべきであると思う。このことは各常任委員会にも言えることで、各々が協力し合いつつも抑制しあうべきだと思う。これにより強固な基盤がほぼその姿を表すであろう。

 B 各種規約の見直し・統制
 言うまでもなく、各種規約はそのほとんどが施行当初のまま現在の到っている。これらは当初に於いてはこのままで良かったかもしれない。しかし、現在ではあまりその存在すら忘れ去られているものもある。事実、私もその総てを把握している訳ではなく、まだ眠っているものもあるだろう。私はその存在を全校生徒に知らしめる為にこれらの規約に手を加え、より判り易くし、より高度なものへとすることによって全校生徒に知らしめるべきだと思う。

 C 代議員会の強化
 執行委員会を閣議とするならば、代議員会は国会に当るもので、全校生徒の代表が話し合う場である。現在、代議員は各クラスより2名選出されているが、各委員会の委員も兼ねているのでその職務の量は多い委員会は並大抵のことでは兼任しきれない。そこで、これまでの委員選出方法を見直し、委員会の長のみを代議員の中から選出することを提案する。また、議事運営規約を代議員に浸透させることによってスムーズな議事運営ができるのではないかと思う。規約を改正する場合、一般生徒にも浸透させることが出来れば代会に関心を持つ生徒が現れるかもしれない。

 D 常任委員会の委員選出方法の見直し
 前述した様に、現在代議員が委員を兼務している。このままでは代会の機能が低下し、各クラスへの伝達も疎かになるばかりでなく、委員会の機能も低下し、その職務も疎かになりかねないと思う。この際、思い切り良くこの選出方法を改正すべきであると思う。このことは以前より指摘されていたことであり、現在の瑞陵生の気風を考えるならばここで改正し、一般生徒に知らしめることによって、生徒会への関わり方を考えさせるべきである。この改正については他校生徒会に情報を要請し、師事を仰ぎ、最も瑞陵に適していると思われる選出方法に手を加えるべきであろう。このことが後に、他校生徒会同士の結びつきを生む糧となるかもしれない。これが実行に移される為には会則の改正、ないしは委員会基本法(仮)を制定する必要がある。これが実現された場合、一般生徒の生徒会への関わり方が変わるのではないかと思う。

 E 常任委員会の再編
 今日、常任委員会の中にもその機能が果たされていないものがある。その様な委員会を放っておくと腐敗の原因となる怖れがなきにしもあらずである。ここで常任委員会を整理しておくことで生徒会をより判りやすくすべきであると思う。


3.終わりに
 ここまで述べてきた事、全てが正しい訳ではないのは重々承知している。しかし、これは私なりに最善の方法を考慮してきたものである。私の中では最善の策だと思っている。これまで、前述の六項うち、幾つかは実行し、僅かながら実を結んだものもある。だが、まだ不完全なものでしかない。生徒会役員は最大で四期ないしは五期までその任期を務める事が出来る。しかし、一人の者が長々とその椅子に固執すれば、後に続く者が育たなくなる。何でも言われる事だが、引き際と自分で幕を降ろす事が大切なのである。私は引き際を間違えたやも知れない。言い訳に過ぎないが、後に続くものには教えられて学ぶよりも、自分で学び取って欲しかった。世に出れば教えられる事よりも、学び取ることの方が重要な時もある。

 最早、そのような事を言っても遅すぎた。卒業した今となっては生徒会に関わる事も出来ない。そして、今後、私の世代のメンバー程、優れた者が輩出される可能性も少ないだろう。しかし、これからの瑞陵を担うのも彼等であるのもまた事実である事を忘れてはならない。
 やはり、彼らに如何に現状を把握させるかが急務なのかも知れない。


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愛知県立瑞陵高等学校生徒会基本改革案

コードナンバー:PSI-10000
作成者:平成十二年度生徒会会長

2001/5/19 作成
2002/3/28 改編・完成
2002/4/29 改称


分類:第零種超甲種機密
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